手を引かれてついた先は、町の外れだった。


そこには、一軒の家があった。


ガラガラ


中にはいると、とても狭いことが分かった。



「君、大丈夫だった?怪我、してない?」


暗闇で気づかなかったが、助けてくれたのは女の子だった。


「あ、助けてくれてありがとう。」

「いいよ、いいよ。困っている人がいたら助けるのが当たり前って父様もいってたし。」

ニッと笑った顔は、とても、優しかった。


「今日は、父様も母様も帰ってこないから、泊まっていきなよ。」


「でも……」

父上と母上が心配してるから。

といおうとしたが、道が分からない。

それに、正体がばれてはいけないと言われたので、案内も頼めなかった。


「どうしたの?具合わるい?」


「え、違うよ。大丈夫。」


「ならいいけどって!!」

女の子――れい――がりくの腕をつかんだ。


「怪我してるじゃん!」

え?と思いみれば、かすり傷ができていた。

「このくらいなんともないよ。」

りくがそう言ってもその子は、聞かず、手当箱をとりだした。


「小さな怪我でも、ほって置けば、大変なことになるんだよ。」

りくと同じくらいの年のれいは、なれない手つきで、包帯を巻いた。


「はい、完成。」

「……ありがと」

「君、親は?」

れいが心配そうな顔で言った。

「……城で待ち合わせしてたんだけど。」

りくはとっさに嘘をついた。

れいは、それを疑いもせず、案内すると言った。