奇妙な世界へのススメ

1週間。
机、いや、ミクが毎朝待ちわびてくれるおかげで、
遅刻王という肩書きとはお別れになった。
「どうした涼、心入れ替えちゃってさ」
「先生にまたなんか言われたの?」
裕也と美香だ。
「これが実力ってやつさ」
もちろん俺は「机とお喋りしたいからでーす」なんてこと言わない。
2人して顔を見合わせる。
「「明日は大雪かもね。」」
うっせ!

「おい、全員席つけー」

教科書、教科書っと。
・・・やべ、ない。
最近評判のよろしい俺としては頂けない事態だ。
慌てて机の中をまさぐった。

ブルッ

異変に気が付いた。
なんか震えてる?
まさかスマホのバイブか。
持ってきてんのばれたら
またややこしいことになる。
中を覗きこんだ時だった。

バチッ!!

「いって!」
特大級の静電気。

・・・ミクだな。
机の上にはでっかい文字。

"この変態!!!"

そんなつもりじゃないってば。

"頑張ってくすぐったいのも我慢してたのに!!"

ん?
・・・震えてたの、ミクか。

そうかそうか。
静電気のお返しだ。

"あはははっちょっと!やめてってば、あははははははっ"

こちとら教科書を探ってるまで。

"ねぇってば!
ふふふ・・・くすぐったいってひゃははは"

だんだん楽しくなっていたらしい。

「村上!何にやにやしてる!!」

笑いがおこる。
また大統領ばりに手を振って・・・。

「そんなに勉強楽しいなら
この問題解きなさい!」

うわー、このパターン。
かたまっていると、
まだ机の中だった左手に微弱の電気を感じた。