さよならを言うのは、やっぱりあなたが先なのね…


あなたを見送るのは嫌だけど。
あなたに見送られるよりはいいのかもしれない。

いつまでもずっと、一緒にいられるなんて思ってはいなかった。

でも、これは覚悟とは違う痛み…



もう、二度と。
あなたは私を見ない。
二度と、私の名を呼ばない。

二度と…

この手を握ることはない。


乾いた手を握り締める。
皮の厚い、しわくちゃの手はひんやりと冷たい。


その感覚すら、明日には消えてしまう…



ねぇ、覚えてる?
私がいつか、あなたに話したこと。


いつか誰かに、ありがとうって言ってほしい。

生まれてきたことに。
私が生きていることに。
そうしたらきっと、一生その人を愛していけるって…


あなたでよかった。
あなたを愛して、あなたの隣で生きてきてよかった。

あなたがいてくれたから。
私の人生は幸せに満たされた。



もうあなたの笑顔には、写真でしか会えないのね。
楽しい話も悲しい話も、あなたに伝えられないのね。

温もりも、溶けてしまうのね…



この記憶を心にいつまでも留めたい。
あなたに愛された記憶を、いつまでも。


さよならは、まだ言わないわ。
あなたにまた、出会いたいから。

また出会えると、信じていたいから…


ありがとう。
あなたに出会えて、本当によかった。


いつの日か、その笑顔に再び出会うときまで。

ちゃんと私を待っていてね?