頭の中を、ぐるぐる回る想いに涙が出そうで。
ひたすら歩く。


駅を一つ通り越して。
二つ通り越して。
見たこともない道に出る。
どっちに向かえばいいのか分からない。
感覚で進む方向を決める。

目的地なんてない。

あたしが向かいたいのは、あなたの笑顔だけ。


会いたい…


足の裏が痛くなるくらい歩いても。
あたしにはたどり着けない。


苦しくて、胸が熱くて、もどかしくて。
体が震えて動けなくなる。


ただ、あなたの言葉がほしい。

少しでいい。
この距離を縮める言葉がほしい。


眩しすぎる蛍光灯が、あたしの心を痛々しく照らしてる。


もうこれ以上あたしには待てない、きっと。

こぼれそうになる涙に、唇を噛み締めて、歩きはじめる。



突然。


カバンの中で眠っていたケータイが目を覚ました。


深呼吸をして電話に出ると、すぐに聞き慣れた声が耳に届いた。


「もしもし?どうしたの?」