夜が明ける前に






「…たくさん、愛してくれてありがとう…」



いつもいつも、感じてたよ。




叱られてる時も


笑い合ってる時も


…泣いてる時も。



今だって、感じてるんだ。

握られた両手から伝わる、たくさんの《愛してる》。






「…身体が、弱くても…幸せだった…」


そんなことに引け目を感じないくらい、日々は楽しかった。

父さんとおかずを取り合ったり。

兄ちゃんと京香さんを冷やかしたり。

藤元と一緒にいて。



他愛もない日々だったけれど、私にとっては間違いなく、そのそれぞれが幸せの形だ。









「とーさん…にいちゃん………」









…視界が滲んで、よく見えないな…

まあ、いいか…
呼び掛ければ、強く握ってくれる手を感じれれば。









「……大好きだよ。」













みんな、大好きだよ。



だから悲しまないで









ほら、笑って―――――…