「晴れてたら良かったのになぁ。」



「……そうだね。」




――晴れてたら、銀の髪を思い出さないで済む。


そんなことを思ってしまう私は、かなりの重症だ。


大体この一週間、暇があればあの緋色の瞳が頭を過る。

考えなければいけないことは他にあるというのに、全くもっておめでたい脳味噌をしている。







「…藤元さんよ」



「何かな?桜木さん」









「…あと数ヶ月で死にますってなったらどうする?」




「…んー。女遊びしまくる。」





…こいつに聞いた私が馬鹿だった。


盛大な溜め息をついて、隣で同じように寝転がっている藤元に蹴りを入れた。


そりゃあまともな答えは求めていなかったけどさ。



内心で悪態付いていると、視界にひょこっと藤元の顔が割り込んできた。




「…なんでそんなこと聞くの?」



頬杖をついてこちらを見下ろす彼の表情には面白がってる様子は一つもなくて、ただただ真っ直ぐな視線だけが降ってくる。




「…そういう顔してたらカッコいいね。」



「うん。知ってる。それよりなんで?」



…流されてしまった。

てか知ってるってなんだよ。なんかムカつく。



しかしそんなことを言える状況ではない。
痛いくらいの視線を受けてまで冗談は言えなかった。