夜が明ける前に



思惑通り、ぼっ、と火が着いたような顔をして、キャーッと言いながら小走りに私の部屋を後にした。



「…いやー、可愛いねぇー」

京香さんの小さな背中を見送った後、ごろんと寝転がる。


天井をぼんやりと仰ぎながら、恋する二人を思って頬を緩めた。



…大丈夫。あの二人なら支え合っていける。

確信めいた答えが私にはあった。
たぶんお互い、離れてしまっては上手く生きていけないだろう。それほどまでに、無くてはならない存在なのだから。





一人でふふっと笑っていると、コンコン、とノックする音がした。





「晩飯出来たぞ。」







「…あとで行くよー」



扉越しに聞こえる兄の声は何だか低くて、調子に乗りすぎたかなー、なんて思いながらリビングに向かう。














そして、案の定拳骨を一発お見舞いされた。