騙されてないと言いながら、いざ京子を前にすれば、つい気がゆるむ。 林をちゃっかり奪われたというのに、 逆に自分が間違っていたのかとさえ思う。 なぜなら京子は皆から慕われていて、ちっともせけんで言うぶりっこらしい部分が垣間見れないからだ。 けれど、香織は思い直す。 彼氏が居る癖に居ないと微笑む女が、いい子な訳がない――――と。