香織の考えではこうだ。
―――合コンの時に不慣れですアピールをする奴はろくでもない。
冗談には笑うが、下品な話には乗らない、そんな女は裏がある。
真由のようにボディタッチやサラダの取り分け、おかわりのメニューを差し出すと、ただの“安い女”に成り下がる。
「こいつ俺に気があるな」なんて、少しゆるい男はすぐに勘違いするが、
本当に慣れた人には通用しない。
けれど、露骨に覚えてもらおうと行動しないことに意味があることも分かっている女がいる。
もちろん京子だ。
すると簡単に男は“なんて奥ゆかしく飾らない子なんだ”なんて、すっかり落ちる。
香織は舌打ちした。
一番人気の男の隣にちゃっかり居座る奴の、どこが“清純派なんだ”と。
見えない言動に苛々するし、気付かない男に腹が立つ。