香織は合コンに参加していた。
お目当て君は居ない。自分には彼氏が居るからただ人数合わせに顔を出したまでだ。
学校の帰りのままの私服で来た。
そして自分の隣に居る女は京子だ。
彼女も彼女でいつも通りのストレート風の毛先ワンカール、マスカラとアイシャドウで作った抜け間のある大きな目、
小花のワンピースにぺたんこ靴を合わせて、揺れる小さなピアスを付けている。
いたって普通の男ウケを狙っていないであろう格好。
香織はそれに舌打ちした。
一方で香織の斜め向かい居る真由は程よく濃い化粧でまつ毛がばさばさで、ぷるぷるした唇から舌足らずな声を出し、
ふんわりとした巻き髪をして、お天気お姉さん系の服装で、スタイルのいい身体をさり気なく主張している。
真由が悪いと香織は思わない。
逆に、潔いと思う。
あれは明らかに“女の子らしさ”をアピールしていて、男ウケ狙ってますと主張しているようなもの。
もちろん可憐という理由で明るいだとか言った理由でモテるのはモテるが、
女慣れした男からは“モテることを追随し過ぎている”と誤解されがちだ。
真由のような女度を出したアピールは男命の女だというレッテルを貼られやすい。
それに引き換え、京子の格好は真由とは違い、女の子らしさの糖度が低めだ。
おしゃれだが気合を入れすぎていない。さり気ない可愛さが男ウケに当たると思っているのだろう。
ただでさえ女っぽい格好の真由は他の女からブーイングをされがちなのに、彼女は積極的に甘えていく。
―――ゆずとレモンのチューハイを飲みながら、香織は首をひねった。