京子は大好きな彼氏、森山とデートを楽しんでいた。
普通に街中で待ち合わせをして買い物をしてご飯を食べて、どちらかの家・今日は森山のに行く。
正直、京子は男でも女でも態度を変えない。
京子と言えば“健気でちょっと抜けてておもしろくて頑張り屋”だと皆から同じように言われるように接してきている。
なので、誰の前でも京子は京子。常に自分を偽ったままの裏ぶりっこの京子。
―――本当は京子だってブリッコをしたくなくなる時がある。
けれどその“時”は決して他人には見せない。
彼氏である森山の前でも京子は裏小悪魔であり続ける。
子供のように甘えて甘えて甘え倒す。時にはお姉さんぶって説明口調になったり叱ったりもする。
自分なりの“可愛い女”を演じまくる。
森山は京子が自分の前でだけが“ブリッコ”だと思っている。
もちろん裏ぶりっこの京子なので、だれも京子が男好きだとは思わないし、
むしろ表面的に見れば、京子は彼氏の前でだけブリッコだという事になる。
世間で言うぶりっこは、どんな男にも露骨にアピールをするものだと思われていがちなので、
京子がしてきている裏小悪魔要素はちっとも明るみにならない。
つまり、森山の前では人の目を気にせずに“可愛い私で居られる”という態度が既に計算づくなのだ。
羽を伸ばして甘えてくる京子が可愛くて、今日も森山は京子を好きになる。