松坂と駅の広場で待ち合わせをしていたら、見知らぬ男に声をかけられた。


ナンパされることは恥ずかしいことだ、と京子は思っている。

なぜなら、“俺でもいける”と簡単に思われる容姿だという面を持ち合わせているからだ。

例えば京子の知り合いのショップ店員をしているおしゃれで美人な子や、受付嬢をしている整った美人の姉などは、

街中を歩けばたくさんの視線を浴びるも、“美人過ぎて”声がかけられない。


なので、大層不愉快に感じながらも、ニコリと笑顔を作った。


「待ち合わせしてるんで、他どうぞ」
「2人?なら俺も友達呼ぶし」

「彼氏居るんで・・・」

ありきたりな会話の流れで残念そうにした男に、京子は携帯を取り出した。


「友達で紹介探しているコが居るんですよ、その子どうです?」


送信はせずに、受信だけした赤外線で増えたメモリー。



京子は笑顔で手を振って、松坂が来るのを待った。