「昨日ありがとう!!本当美味しかったよ!!

それに中本って大学とバイト先じゃなんか雰囲気違うね!!」


翌日、学園内で中本の姿を見つけるなり京子は自分から話しかけた。

「いえいえ、お安い御用です、つぅか社割利かせてるから偉気ないけど」

「ううん、お礼に飴あげるね」

小さい苺の味の飴を差し出すと、中本は極端に手を引っ込める。


「貴様天使の癖に飴1個で元を取るつもりか!?奢れ!なんか奢れ」


嫌だよ、と言いながらも、次回の約束を取り付ける。半ば中本に押されているのだと言わんばかりに。

赤外線で交換する連絡先、「私損した~」と笑いながら登録する。


決して自分からいかない。追わせてナンボなのだ。

楽しい恋愛をしたいから、泣かずに笑って恋愛をしたい京子には計算はつき物だ。


かっこいい男はみんな自分を好きになればいい。

好きになってちやほやして甘やかしてくれたらいい。




周りから見れば京子と中本の距離の縮め方は自然な流れに思えるが、

全て舵を取っているのは京子だ。




それを、誰も知らない。