荒井といい感じに甘ったるいメールをしている京子は、平日はファミレスで、土曜日はケーキ屋でアルバイトをしている。

本当はファミレスの方が時給がいいのでファミレス一本に絞りたいが、

ケーキ屋でバイトをしている、というフレーズは男子の食いつきがいいので、切り札にしているのだ。


いつだって優先させるのは、いかに男が望む“理想の女の子”で居てあげるか、だ。



今日はファミレスのバイト。(制服が可愛いので気に入っている)


アルバイトをするなら出会いが多い所が第一条件だったので、野心家な京子にファミレスは持って来いだった。


平日の放課後は高校生のカッコイイ男の子が多いし、深夜は若者が集うので、ホールを歩いているだけで品定めできる。


若い客はちやほやしてくれ、時にはアドレスを渡してきたりする。

そういう目で見られる自分に満足感を得てバイト代を稼げるなら本望だ。


(もちろんバイト仲間もノリの良い人が多いのもしっかりチェックしてから働き出した)



夕日の入る席に、ポテトフライやから揚げセットを運ぶ。


「こちら・・・」と言うマニュアルトークの後に、にっこりと微笑む。

そうすれば簡単に高校生の集団は「おねーさん彼氏居ますか」とチャラけて聞いてくる。


「あはは」と社交的な返事をしてキッチンに戻る背中に掛かる「可愛い」という野次が快感だ。



京子はとにかくちやほやされるのが大好きだ。

自分が綺麗になれると思うから。男好きなのではなくて、自分が自分であるためにただ男の目線が必要なだけなのだ。

ときめけば毎日楽しくて笑顔になれる。


だから、会計時に「また来てね?」と男子高校生に笑ってあげる。