SUDACHI〜じいちゃんがくれた宝物〜

俺は今,

全寮制の高校に通っている。


「家族」という

嘘っぱちの容れ物に嫌気がさして

去年,家を飛び出した。



俺はここが好きだ。

ここには俺の居場所がある。


電線の上で

毎朝毎朝おしゃべりする雀たち。


寮の前には

春を告げる桃色と

山吹色の畑。



そして何より

一番心地好いのが


夕方になると


俺の部屋に差し込む

オレンジ色の夕陽だ。



夕陽が差し込むこの瞬間だけ

忘れかけていたものを

俺に思い出させてくれる。



愛に満ちた…

あたたかい温もりを…。



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