軽くシャワーを浴びて、浴衣に着替える。


小物まで可愛いのを揃えてくれていた。



着替えをすませると、外は薄暗くなってきていた。



ドキドキしながら先輩の部屋を訪ねる。



相馬先輩は浴衣姿の私を見ると嬉しそうに微笑んだ。



「思ったとおりだ。可愛いよ。」



ストレートに言われてどうしていいかわからず、恥ずかしくて俯いてしまう。


相馬先輩も、着替えていて、ジーンズにTシャツというラフな姿だった。

よくある男の子の服装なのに、相馬先輩はそのルックスのせいか、どこかのモデルのようだ。


さっきまでワイシャツ姿だったので、普段着とのギャップになんだかドキドキする。







花火大会の会場は人でいっぱいだった。


女の子はみんな浴衣を着ている。



「大丈夫?転ぶなよ。」

「大丈夫。でも、迷子にならないようにしないと。みんな浴衣着ているからはぐれたら、先輩、私を見つけられないですよね。」



ん?と先輩は振り返り、それはないな、と言った


「この俺が九条を見つけられないわけないだろ」



さも当たり前のように言うから私は照れをとおりこして苦笑してしまった


「じゃぁ、どこにいても私を見つけてくださいね」

「あぁ。もちろん。」



先輩が笑ったとき、大きな花火が上がった。