「今は?元気になった?」

「はい。相馬先輩が来てくれて元気が出ました」

「なら、もっと笑顔になってほしいな。…九条、この後空いてる?」

「?はい。」

「花火大会いかない?」



花火大会!?

先輩の話しだと、今晩近くで花火大会があるのだという。



「行きたい!あ、でも、先輩、大丈夫なんですか?」

「うん。猛がなんとかしてくれるだろうし。」

「猛先輩?」

「あいつの親はうちの重役。右腕ってやつだから大丈夫。」

「そうだったんですか」



知らなかった。ということは、将来的には相馬先輩の右腕となるべく人だったのか。



「じゃぁ、用意して行こう。」

「用意?」



先輩はソファの後ろに置いてあった紙袋を取り出した。

プレゼントと差し出された袋の中を見るとそこには…



「浴衣?」



紺色の可愛い柄の浴衣一式が入っていた。


これ……。



「俺が選んだ。九条に似合うと思って。」

「…嬉しい。凄く嬉しいです!」



先輩が私のために浴衣を選んでくれたなんて。

顔がにやけてしまう。



「着替えてきますね!」

「ん?着れるの?」

「?はい。着れますよ」



先輩はそっか、残念と呟いた。



「着れなかったら、俺が着させてあげようと思ったのに。」

「!!」



先輩はニヤッと笑った。

顔が赤くなるのがわかる

もう!絶対わざとだ。



私はエロ寮長!と叫び、部屋に駆け込んだ。


後ろからは相馬先輩の笑い声が聞こえていた。