近くの公園で涙が止まるのを待つことにした。
でも涙が溢れて止まらない。
「お嬢さん?大丈夫ですかな。」
声をかけられ、顔を上げると、白髪混じりのおじいさんが立っていた。
私は慌てて涙を拭う。
「あぁ、いいんだよ。泣きたいときは思いっきり泣くといい。」
「いえ、大丈夫です。」
「気の強いお嬢さんだ」
おじいさんは、よいしょ、と隣に座る。
凛とした横顔に、品の良さそうな服装のおじいさんは暑いのか、帽子で顔を扇いでいる。
「お嬢さんは何故そんなに泣いているのだい。」
「あ、これは……」
「辛いことでもあったのかな?」
「……亡くなった母と住んでいたアパートが無くなっていたんです。」
「そうか。それで泣いていたんだね。可哀相に」
おじいさんは穏やかな声で言う。
「大切な思い出の場所だったんだね。…今はお父さんと?」
「いえ。父は物心ついた時にはすでにいませんでした。」
「…亡くなった?」
「わかりません。母はあまり話してくれなくて。聞いてはいけないような気がしてたから。」
「…そうか。」
おじいさんは小さく頷いた。
不思議な雰囲気の人だな
ついいろいろ話してしまう。