スイートルームであろう室内は外の夜景の明かりが星のように部屋に入り込んでいた。

二人っきりになり、改めて整理できた。


私…



「先輩と婚約したの?」



ゆっくり口を開くと、先輩は机からあるものを取り出した。



「黙っててごめん。驚かせたかったんだ。」

「仕事っていうのも?」

「嘘。奈緒にも協力してもらって、九条をこのパーティーに連れてきてもらったんだ。」



私を驚かせるための婚約発表パーティーだったってこと?



「…驚きました。」

「うん。」



先輩は私に近づき、手にしていた箱を開ける。

そこには…



「受けとってもらえますか?」



婚約指輪が入っていた。


相馬先輩…。



「泣くなよ~」



先輩は苦笑する。

私は大粒の涙を流していた。

だって…だって…



「私…嬉しくて…」



先輩は笑いながら、私の指に指輪をはめた。