「ねぇ、椎菜先輩。僕、これからコンクールの練習するんですけど、見に来てくれませんか?」

「今から?」

「はい。ね?いいでしょう?いいですよね、相馬寮長?」



野上くんは相馬先輩を見る。つられて私も先輩を見上げた。



「…別にいいよ。行ってきたら?」



先輩はニコッと私に言う

う~ん、相馬先輩が言うなら…いっか。



「じゃぁいいよ。野上くん。」

「やった!じゃぁ行こう、椎菜先輩。」



野上くんは私の手を引っ張り、小走りをする。


振り返ると、相馬先輩はこちらに背を向け、帰って行った。