心の中にモヤモヤしたのが ゆっくり広がってゆく。 黒くてどんよりした、 ・・・嫌な感情。 「ふぅん」 小さな声で呟いて、 「なんか彫ってある…」 と、焦りながら言う。 「ふたりの名前入りだよ!」 嬉しそうに首を傾ける 高倉とは正反対に、 俺は彼氏に嫉妬してしまう。 指輪なんか…買ってんなよ。 「よかったな」 せいいっぱい笑いかけ、 会議があるからと さっさと背中を向けた。