「・・・何かあった?」


 とりあえず聞いてみると

 待ってましたというように

 目を大きく開いた。


「ふふん、

 先生驚くなよっ・・・」


 そろそろと意味ありげに

 俺の隣に移動して、

 そっと手を出した。

 左手の方。

「あ」


 薬指に光っているもの。


「指輪?」

 
 しばらく間を置き、

 ゆっくり何度もうなずく。

 頬が紅潮している。


「そうっ!

 おととい、買ってもらった」


 嬉しそうに、

 ほんとに嬉しそうに

 脚をばたばたさせて笑う。