若い男性が崩れるように座り込んだ。
「俺たちはここで死ぬんだな。」
若い男性の言葉に60歳ぐらいの女性はまた心を乱し始めた。髪をぐしゃぐしゃに掻き毟り狂ったように暴れ始めた。
「うるさい。黙れ!!」
若い男性が叫んだ。辺りは一瞬静まり返った。
「てめぇ、誰に向かって文句言ってる。」
中年男性は若い男性を殴り倒した。そして、馬乗りになり何度も何度も殴り続けた。部屋中、鈍い音が響いていた。
「キャー。」
鈍い音と女性の叫び声が部屋中に響く中、私は震えたまま立っているだけだった。そして、若い男性は動かなくなっていた。私は吐きそうになった。
「仕方ないだろ?こいつが文句言うから。」
「でも、殺すことはなかった。この人も悪気はなかったはず・・・。」
「黙れ!!いいな?」
中年男性は血だらけの拳を私に見せた。血は流れ落ち男性の番号が赤く染まっていた。
(ガチャン)
嫌な空気の中、また鍵が開く音がした。
「この部屋にもドアが?」
私たちは壁を調べた。。前の部屋と同じく一面だけ違う。私たちは確信した。これはドアだと・・・。
「開けるぞ。」
人が通れるほどの隙間から覗くように中を確かめた。でるのはため息。目線の先にはまた真っ白な部屋だからだ。
「また真っ白な部屋だ。進むしかないな。」
「うん。」
「ちょっと待って。さっき入って来たドアに何か貼ってある。」
60歳ぐらいの女性の指先を追った。