類は、陶器の人形を、触れずに、でも息がかかるくらい傍で観察していたが、やめて師匠を見た。

「何でそんなこと分かるんです?ここの人は『ここにあるスタールビーはナンタラ国の盗品でっす。』って宣伝してるんですか?」

「そんなわけないだろう」

「そんなわけあると思っていると思いますか?」

 師匠は何か文句を言いたげに類を見たが、言っても無駄だと思ったのか、気を取り直したように喋りだした。

「いやなに、私が長年かかって調べ上げたのですよ。いいですかあ?その結果、モゴーグ国から盗み出された品らしきものを、数点、私、目を付けているんですよ」

「どうやって調べたんですか?」

「博物館に展示されているものは、この目で確かめに行きました。ここにあるものは、その昔、この家がある番組に出たときに、お宝自慢をしていてちらっと写ったものを見て、これだと思いました」

「そんなに特徴があるものなの?」

「ええ。盗品なのでカットは変えられていますが、あれだけの品はそうそう存在しない。先ず、間違いないですね」

「ふううん」