広い応接室には、大きくて格調高げな調度品が並んでい、その上に陶器製の西洋人形や壷などが所狭しと置かれてある。
 
どれもほこりをかぶっていない。

きっと毎日メイドさんが掃除してるんだろうな。

一つでも壊したら、そのまま夜逃げするしかないようなの高級品なのだろう。

類は、さっきの女の子がな、おっかなびっくりほこりを払っているところを想像した。

「師匠」

 先にソファに沈みこんで座った師匠に、類は訊いた。

「こんなお金持ちなのに、何で宝石一個のために、探偵なんて頼むんでしょう

「それはな」

 言うと、師匠は類を手招きした。傍に行って顔を寄せると、師匠は声を低めて、

「実はその品は盗品なのだ」

「ええっ!!」

「やかましい!耳元で叫ぶな!」

 師匠は耳を押さえで怒鳴った。