しょせんは、作り手に騙くらかされているのだ。
 
車を降りて、玄関へ向かうと、本当に存在したのかと、感心するようなメイド服に身を包んだ可愛らしい女の子がドアを開けて出迎えてくれた。
 
彼女は怪しい格好の師匠には見向きもしなかったが、類には熱い視線を送ってきた。

 また、男だと思われているらしい。

 類は見るとはなしに類の胸元を見た。

 小さくない胸が、はっきりとシャツに曲線を描いている。

 どうも、人間は、都合の悪いものは見えないように出来ているようだ。

 ふと気付くと、師匠の目も類と同じものを見ていた。

 多分、同じことを考えているものと思われる。

 類と師匠は黙ってメイドさんに付いて行った。

「こちらでお待ちください」

 応接室らしい部屋に通された。