依頼者の安西邸は、高級住宅地にあった。

一目でお金持ちの家と分かる雰囲気の家が立ち並ぶ中にあって、少々異色な外観だった。

敷地はだだっ広いというほどでもないが、街の中にしては、ゆったりとしていて、家の
造りが贅沢だった。

なんと、日本家屋風の、平屋なのだ。

 ぐるりと囲んだ塀の向こう側に、高級外車が二台、止められているのが見える。

「こんにちは。影山です」
 
取り付けられたカメラの方を見上げながら、師匠は蒼い顔でインターフォンに向かって喋った。

すると、閉まっていたガレージの、横格子のシャッターが開き始めた。

「車を中に止めてくれって」
 
言った師匠にうなずくと、類は高級外車の隣に、慎重に愛車を止めた。