「ええと、マンションカエデ、マンションカエデと」

紙からマンション名を拾い読みしていると、すぐ目の前にあったマンションの名前に、目を奪われた。
 
カエデと書かれてある。

類は驚きのあまり、その建物を見上げた。
 
茶色の外観の、小奇麗なマンションである。
 
師匠の家って、マンションなんだ。
 
何となく、マンションとは名ばかりの、築五百年くらい経っていそうな古びきった木造アパートを思い描いていた。
 
それが、コレだ。