「師匠?」

声をかけると、びくりとされた。

「何だ、類君か」

「何だじゃないですよ。間違いなくここなんですか?田口氏が入ったの」

師匠は頷いた。

「って、子供の声がするじゃん」
 
浮気現場と言うよりは、家族の団欒をしに来ただけって感じだ。

「どういうことでしょう?田口氏の隠し子ですかね?」

師匠は類の質問には答えずに、玄関のチャイムを鳴らした。

「なっ、何をするんですか!?」
 
驚いている類の目の前で、ドアが無警戒に開いた。

「はい?」
 
出たのは田口氏だった。 
 
師匠は構えていたカメラで、田口氏の姿をパチリと一枚撮った。
 
とたん、田口氏の顔色が変わった。