会社に戻ると、休憩室から出てきた湯佐とばったり出くわした。
 
他の人達はいい人ばかりなんだけれど、こいつだけはいかん。
 
こいつと関わるだけで類は苛々するのだった。

「やあ、成瀬君。お急ぎでどこへ行くのかと思ったら、派手なご婦人と密会ですか」
 
って、こいつ見てたのか。
 
そういえば、喫茶店の入り口は、この休憩室から見える位置にある。
 
さっき、田口婦人に迫られていたのをしっかり見られてしまったようだ。
 
よりにもよって、こんなヤツに。

「オレと付き合うより、豊満なご婦人との方がいいんだな。成瀬君は」
 
また、あらぬことを噂される。
 
一瞬、すごく嫌な気分になった。