類と違って、お金のためなら、いろんなことに目をつぶれるタイプのオトコも中にはいたんだろう。

類はニッコリと笑いながら、田口婦人から体を離した。

「せっかくですけど奥様、あたし、女なんです」
 
田口婦人の顔から、いっぺんに期待の色が褪せた。

「なあんだ。せっかくタイプだと思ったのに」

「慰謝料をもらいたいなら、ご自身は大人しくしてないと、ややこしいことになるかもしれませんよ」
 
類はあくまでニコヤカに言って、田口婦人に背を向けた。