類が会社でお弁当を食べていると、休憩室に湯佐が入ってきた。

研究室の先輩であるが、嫌な男なんである。

休憩時間、ずらせろよ。

思いつつ、湯佐の方に背中を向けた。

「何だ、成瀬も休憩中か」

研究室にいないんだから、ここにいるに決まってるだろ。

ばか湯佐め。

心の中で思って、無視していた。

なのに、遊佐はわざわざ類を覗き込むと、二イッコリ笑って、話しかけてきた。

「なあ、成瀬、お前彼氏いないんだろ」

いなかったらどうだって言うんだ。

朝早起きして作ったお弁当から、たこさんウインナーを拾い出して口に放り込んだ。

はい、コレで口がふさがって返事が出来ませーん。

もぐもぐと咀嚼しながら、味わった。