師匠は、自分の調べたモゴーグの資料を、もう一度調べなおしていた。

類は言った。

自分は館長の友達の、宝石の技工士の孫だと。

そのページを、確かめた。

「やっぱり」

モゴーグがトリゴーグだった昔。

王は、その命を全うしなくても、退位できたのだ。

そして、一般の人間のように、職を持ち、働くことができた。

モゴーグ最後の王の父は、宝石の技工士になった。

それも並々ならぬ腕。

きっと、類の祖父という人だ。


と、いうことは、最後の王は、類の、父か、その兄弟。


・・・類は、世が世なら、王位継承権がある身なんでは・・・

類の告白を聞くうちに、気付いた事だった。

けれど、今調べてみて、それは間違いではないと悟った。

「類・・・」




師匠はつぶやいた。


「いいのか、あんな王位継承者で・・・」




おわり。

長々お付き合いくださって本当にありがとうございました。
ひたすら感謝です。