次の一枚には、赤いハート形の宝石の絵と博物館らしい図面があり、その一箇所に赤い×印が付けられていて、警備システムが書き込まれてあった。
 
何だこれ?
 
トキはコレをみていた。
 
他にもスターサファイヤやダイヤモンドのイラストと一緒に、誰かの家のものらしき図面が
クリアファイルいっぱいに入っていた。
 
さっきはこんなの無かった。
 
いや、見なかっただけかもしれない。
 
引き出しの中身を見ると、さっき見た、新聞の切抜きがあった。切抜き記事の下に、コレはあったのかも知れない。
 
類はそっとファイルを戻すと、引き出しを閉めて、部屋を出た。
 
トキは、一体この部屋で何をしていたんだろう。

それに、何であんな図面が師匠の引き出しにあるんだろう。

あの事件のことを師匠はライフワークだと言っていた。

あれはてっきりあの事件が迷宮入りのままになってしまわないように、調べているんだという意味だと思ったが、もしかしたら、本物を盗み出そうとしていることを指していたのかも知れない。
 

類はそのことが頭を離れなかったせいで、パスタをわずか三人前ほどしか食べることが出来なかった。