だから、ほんの少し離れただけで、誰の目からも逃れられるのだ。

「あたし、実はクォーターなんだ。知ってた?」

 湯佐は、いつもの類のふざけっぷりを思い出して、怪訝な顔をした。

 類が言っていることの信憑性を疑ったのだ。

「嫌だな、本当だってば」

 類は、ニッコリと笑った。
 
その笑いで、湯佐は類の言っていることがウソだろうが本当だろうが、どうでもよくなったようだ。

 ニンマリと顔が笑っている。

「おじいちゃんがトリゴーグ人なんだ」

「トリゴーグ?聞いたことないな」

「モゴーグは?」

「ああ、それなら聞いたことがあるようなないような」