『湯佐さん、類です。ちょっと出てきてもらえませんか?』
 
携帯にそう話しかけると、どこかで引っ掛けてきたとおぼわしい女の人を店に残して、湯佐が立ち上がった。

 湯佐がいたのは、彼にはとうてい似合うと思えない、おしゃれで気軽に入れる感じのショットバーだった。

 湯佐が座っていたところからは死角になっていた木の影から彼の様子を盗み見ながら、類は携帯をかけていた。

 湯佐がガラス張りのドアを押し開けて出てくる。