「どうしてトキさんじゃなくあたしを疑ったの?」

類は言った。

「スタールビーを奪う予告状が届いた安西邸に向かうとき類君が言ったからだ。『何で宝石一個のために、探偵なんて頼むんでしょう』わしは狙われている宝石が一個だ何て一言も言ってない」

類は、一瞬黙って師匠を見た。

「普通、予告状出して盗むんなら一個でしょ?」

 師匠はもぐもぐと口の中で何事か言った。