再びマンションに戻ると、中からとってもいい匂いがした。

「おお、トキくんだな」

師匠は呟いた。

中に入ると、カウンターキッチンのカウンターの上に、パスタがなん皿も乗っかっていた。

「うわ、美味しそう!」

「お前は晩飯食ってただろう」
 
猫を探さずにパンをむさぼっていたことはしっかり根にもたれているらしい。

「まあいい。こんなに食べ切れんしな。良かったら、食っていけ。ただし、自給はここに到着した時間までの計算だぞ」

「はああい」
 
類はパスタを目でざっと選ぶと、添えられてあるフォークでカルボナーラを巻き取って口に入れた。