師匠はコスプレ☆メイ探偵

人波に押し流されて、類の視界からエメラルドは消えてしまった。
 
束の間の、出会い、だった。

 気がつくと、きっちり師匠とはぐれていた。

「どうしよう。師匠とはぐれちゃったみたい」

言うと、トキは類の腕を掴んでホールの端に引っ張っていった。

「あれ?今日はピアス変えたの?」

 トキが至近距離で言った。

 類の耳で、綺麗にカットされた石が、今日は深い赤に輝いていた。

 別に、変えてなんかない。

 類はそのことに関して何のコメントもしなかったが、トキは、大して気にしている風でもないらしく、それ以上そのことに触れなかった。
 
それよりも、何か言いたいことがあるらしい。

 類を見ると、少し興奮気味に、それでも声を抑えて

「分かったんですよ、犯人」