師匠はコスプレ☆メイ探偵

うなってるうちに、視界にエメラルドが入ってきた。
 
類は息をのんだ。

 エメラルドは、宝石としてはあまり硬い方じゃない。

 なので、ダイヤのような細かいカットはしないのが普通だ。
「もともとの形からカラットをなるべく犠牲にせずにカットしたために涙形になったそうですよ。だから、エメラルドの涙、なんてよばれている」

 さすが怪盗トキ。
よく知っている。

 類は、目の前に来たケースを覗きこんだ。

 その、深く濃く、それでいて透明な涙形の宝石を、呼吸するのも忘れて見た。

 心臓が、高鳴ってくるのが分かる。

「綺麗。コレがその」

「エメラルドの涙?」

 トキが振り返った。