師匠はコスプレ☆メイ探偵

長い行列でも、我慢強く待ってさえいれば、自分の番は必ず来るもので、やっと、エメラルドの入ったケースが三人から見える位置まで来た。

“エメラルドの涙”

「確かに宝石としては大きいかもしれないけど、このくらいの大きさのなら、その辺の宝石狂いの金持ちが指にジャラジャラつけてるじゃん」

 明らかに、新聞の記事につられて来た種類の人間が、恥ずかしげも無く、大声で言った。

 何だか類も言った覚えのある台詞だ。

「それが違うのだ」

 口を開いた師匠を、類とトキは見た。

「何が違うんですか?」

 トキが類が訊くよりはやく、訊いた。