何であたしが、トキにうろたえさされなければいけないんだ。
 
類は落ち着いて、気を取り直した。

「あたしは探偵に憧れてるの。アメリカの小説に出てくる、ミセスポリファックスやミスメルビルみたいに」

「スパイや殺し屋になりたいのか?」
 
今までむすっと黙っていた師匠が突っ込んだ。

 そうでした。

 彼女達は、スパイと殺し屋でした。