壇上に運び込まれた台の上から、ビロードちっくな布がめくられた。

 おおっ、と。申し合わせたようなどよめきが一同に沸き起こった。

「見に、行きましょう」

 立食は始まったが、お客たちの大部分が、エメラルドを見るために何となく列を作って並んでいた。
 
類も、テーブルの上の料理たちに目を奪われながら、その長い列をゆっくりと進んで行った。
 
みんな興味があるものだから、なかなか、エメラルドの前を通り過ぎようとしない。

だから、長い列は遅々として進まなかった。