「現物を見せていただけますか?」
言うと、中田はソファに沈み込んだ自分の体すら上手く浮かせられないで、四苦八苦していたが、やがて立ち上がると、応接室から出て行った。
そのスキに、類はノートパソコンの下向きの矢印キーに触れた。
さっきの文面のずっと下のほうに、続きの文章があった。
『警察に知らせれば、“神の雫”が盗品であったことがバレることを肝に命じておけ』
類は師匠の顔を見た。
師匠も、その文面を目で追って、類の方を見た。
「もしかしたら、安西さんのところの予告状にも、続きがあったのかもしれませんね。これと同じような」
師匠は頷いた。
「なぜ、スターサファイアのときは予告状がなかったんだろうな」

