類は腕時計を覗き込んだ。

 早く着きすぎた。
 
カーテンを全開にしていたせいで、朝日にたたき起こされたのだ。

 なかなか痛快な目覚めであったため、カーテンをひいて寝なおす気にもなれず、そのまま起きてしまった。

 ホテルにいても、テレビを見る以外何もすることがない上、朝っぱらからろくな番組をやっているわけじゃなし、暇をもてあまして、かなり早めにホテルを出たのだ。

 ああ、早く、自分の部屋に落ち着きたい。

 類は心の底からそう思った。

 ホテル暮らしに憧れがなくもなかったが、数日続くと、嫌になる。

 いっそ、毎日違うところに泊まってやろうか。

 類は今度は駅の時計を見上げた。

 何度確かめても、まだ師匠が来るまで四十分はある。

 新幹線と私鉄の駅が混在している駅から出て、辺りを見回してみた。

 コンビニがある。