「実は、ダイヤの持ち主から、ダイヤを守るように依頼があったのだ」


 ああ、いきなり核心を言う。

 類はちっ、と思いながら、師匠の隣に座った。


「明日、朝から新幹線を使ってその家に行く。みんな行けるか?」

「残念。私、明日仕事です。晩御飯くらい作りに来られますが、それまでに帰ってこられますか?」


 土岐が訊いた。


「それが、泊まりになると思うのだ。類君は都合はいいかな?」

「ええ。大丈夫です」

「それなら、トキ君は、明後日の晩御飯を作りに来てくれないか。鍵は渡しておく」

 あーあ。それじゃ、資料見られ放題じゃん。

 思ったけど、言えるわけがなかった。

 言う隙もなかった。

 揚げたて第一号のえびを狙って、師匠と格闘しなければならなかったから。