師匠のマンションにたどり着くと、この間から預かっている合鍵で、鍵を開けて部屋に入った。

 相変わらず、広くて何にもなくて、綺麗なリビングだ。
 
でも、困ったことに師匠の姿も見えなかった。

 キッチンも使いかけで放り出してあるように見える。

 ってことは、トキはもう来てるんだな。

 でもなぜか姿が見えない。

 一緒にどこかに行ってるんだろうか。

 それともどこかにいるんだろうか。

 考えていると、隣の部屋から物音がした。

 微かな音だったが、誰かがいるのは間違いなさそうだった。

 せっかく来たのにお出迎えもなしなんて、失礼しちゃうわ。

そっちがその気なら、まとめて驚かせてやる。
 
類は足音を消して、隣の部屋へ向かった。