切らずにいるのは類が美容院を嫌手としているからなだけで、本当いうと、ショートカットにしたかった。

 でも、雑誌を読んでいるフリをしようとなんだろうと話しかけてこられるあの営業態度が類には耐えられないのだ。

 シャンプーやカットの腕は素晴らしく、思わず眠ってしまいそうな心地よさなのだが、夢のフチにさ迷って行く度に、話しかけられてしまう。

類とて、初対面のヒト相手に自分の性格全開で、接する訳ではないので、まともに返事をしようとして、疲れてしまうのだ。