「今の、信じました?」 師匠の真顔の額にゆっくりと縦じわが刻まれた。 「また、冗談だっていうのか?」 類は笑った。 「嫌だなあ。信じたかどうか訊いただけですよ。ほんとですってば」 「じゃあ、類君の身柄はともかく、家財道具はどうしたんだ?」 「おじいちゃんちに送って預かってもらってます」 どこまで信じたものか、師匠には分からなくなってきたらしい。