仕事が終わったら迎えに来いと言いながら、仕事時間がまだ終わってないうちに、再び師匠に呼び出されて、湯佐に嫌味を言われながら、会社を早退した。

 ミドリ先輩に頼まれた翻訳はかろうじて出来たし、山のような器具も綺麗に洗った。どう考えても、湯佐よりは一杯仕事をしている。

湯佐にだけは文句を言われる筋合いはないと思う。

 そして、類は今、博物館にいた。

 ここが五時で閉館してしまうので、類はわざわざ会社を早退させられたのである。


「あーあ、無遅刻無欠席、無早退だったのに」


 類が呟くと、師匠はすまなそうに類を見た。

「悪かった。けれど、平日の昼間しかここは開いてないんだ」

 市営の博物館が、である。